不器用なシタゴコロ
それ以前に。
いくら好きでも。
ホイホイついていっていいのかな…。
「気ィ使わなくていいし、行こうよ」
亮チャンはニッコリ。
人懐っこそうな笑顔をくれる。
…う〜ん、どうしよう…。
その時。
『…ッ?!』
左手を“ギュッ”と握られた。
私の左側にはミズキクン。
左手はちょうどテーブルの下にあって死角になってて。
手を握ってるミズキクンは。
何かを思いついたように口角を持ち上げ微笑んだ。
グイッ。
ミズキクンが左手を引っ張ったから。
重心がミズキクン側に傾く。
『ちょっ…ミズキクンッ!!』
「…とーやも来るからおいでよ」
よろけた私の耳元で。
ミズキクンが低い声で囁いた。
…結局。
“とーやも来るから”って一言で。
私は彼らの誘いにのってしまったんだ。