不器用なシタゴコロ
「ゆずチャン、次何頼む?」
飲み始めてから気をつかってくれてたのか。
ジョッキが空になる前にビールの入った新しいジョッキが置かれていた。
でも3杯めのジョッキを空けたとき。
亮チャンがメニュー表を持って声をかけてくれた。
…さすがにビールばっかりじゃ女の子らしくないよね…。
ホントはあと2、3杯はビールいけるんだけどな…。
でも、オナカがビールでポッコリ、なんてイヤだし…。
『…じゃあ…』
「…ん〜、了解〜」
少し悩んだ後。
手渡されたメニュー表から顔を上げ。
頼みたいものを亮チャンに告げると。
正面に座るミズキクンに声をかけた。
『…あの…ミズキクン』
「ん?」
『とーやクンって…来ないんですか?』
「んはッ?!」
深い意味があったワケじゃない。
ただ。
少しでも知ってる人がいれば。
気持ち的に楽になれるんじゃないかって。
そう思ったんだ。