不器用なシタゴコロ

…ただそれだけ。

だったのに。





「…俺、トイレ行ってくるわ〜」

「俺も〜…」



ケイチャンと亮チャンは。

何かから逃げるように立ち上がり。





「…ねぇ」

「……なに…?」

「…ちょっと、いい?」



モモクンはかなり怖いくらいの笑顔で。

ミズキクンを部屋の外に誘い出す。





…私、なにかマズいこと言ったのかな…?





でも。

思い当たることもないし。

心当たりだってない。





…なんでみんな一斉にいなくなるの?





気付いたら部屋には私一人になっていて。





「お待たせいたしました〜」





さっき亮チャンが頼んでくれた私のお酒を。

持ってきてくれた明るい店員サンの声が。

物悲しく部屋に響いた。



 

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