不器用なシタゴコロ

私の願いは届くどころか。

最初から誰も聞いてくれてなかったらしい。





「…………………」

「…………………」

『…………………』





空気は重いまま。

時間だけがゆっくりと過ぎていく。



…時間が経つのって。

こんなにも遅かった…?





『ゴメンナサイ。
ちょっと洗面所に行ってきます…』





そう言って。

私は部屋から出た。








『…はぁぁぁぁぁぁ…』





洗面所に着くなり。

お腹の底から出るため息。





そりゃあため息も吐きたくなるよ。



なに?あの重苦しい空気。

私はただ“とーやクンは来ないのか”って聞いただけ。

それであんなに重くなるなんて。





とーやクンって、何者?

実は“アブナイヒト”とか?

それとも。

聞かれたくない事情があった?

それは。

“疑惑”が“真実”だから…?





私は。

洗面所の鏡に向かってため息を吐いた。



 

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