不器用なシタゴコロ

盗み聞きなんて趣味は持ってない。



…でも。

会話の中に自分の名前が出てきたら。

誰だって気になるモンじゃない?





「…どーすんだよ」

「どーするもなにも…言っちゃえよ」

「…他人事だと思って…」

「だって他人事だし」





近づいて話を聞いてみると。

ケンカをしてるワケじゃないらしい。





「…ファンだったなんて知らなかったんだから仕方なくね?」

「…そーだけどさ…」





半ば投げ遣りに聞こえるミズキクンの声と。

ため息混じりのモモクンの声。





なにが2人の話の中心なんだろう…。





気になって、気になって。

私はまた戸に近づき。

耳を澄ませた。





「とりあえず、俺は帰るから。
ゆずチャンとちゃんと話せよ?」

「ちょ…ッ!!ミズキくん?!」

「なんのために今日ゆずチャン誘ったと思ってんの?」





少し厳しく聞こえたミズキクンの声が。

耳を通っていった。



 

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