不器用なシタゴコロ

「“コレ”のせいかぁ…。
…クセは無意識だからな…」





そう言って。

少し唇を尖らすと。

空いている方の手で自身の下唇に触れた。





「…まぁ、もうバレちゃってんだしいいか」





諦めたようにひとつ、ため息を吐くと。

指先で撫でられていた頬は。

モモクンの手のひらで触れられていた。








“モモクン=とーやクン”だってことはわかった。

でも。

“わかった”だけで“理解”できてない自分がいる。





あの日。

ケータイ落としていったのも。

“拾ってくれたお礼”って。

ゴハンに誘ってくれたのも。



走って競争したのも。

水族館行ったのも。

飲みに行ったのも。



全部、目の前のアナタなんだよね…。





…でも。

アナタは“モモクン”なの?

それとも、

“とーやクン”なの…?



 

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