不器用なシタゴコロ
『……んぅッ?!』
心ここにあらず。
頭の中がグルグルしてた私は。
不意に唇に落ちた柔らかい感覚と息苦しさに。
意識をこちらに呼び戻された。
『ちょ…ッ…?!』
「…トリップしてんなっつーの」
目の前の彼は。
“柚ってよくトリップすんのな”
なんて口元緩めてるけど。
『な、なんでキス?!』
「しちゃダメだった?」
『そうじゃなくて!!』
「ならいいデショ?」
いやいやいやいや!!
しちゃダメとかそーゆー問題じゃなくて!!
『アナタは誰なのッ…?!』
「……は?」
私の言葉への反応。
…それは。
威嚇されてる。
誰もがそう感じてしまうような低音ボイス。
怪訝そうにシワを寄せられた眉間。
…不機嫌全開の顔。
…しまった。
言葉が足らなかった…。