不器用なシタゴコロ
「着いたよ」
…黒い車の隣。
白い枠内に車を停めた彼は。
目的地に着いたことを告げた。
コンクリートに囲まれた“そこ”は。
前にも来たことのある。
見覚えのあるところだった。
『…ココって…』
「俺のウチ。
飲み直ししようって言ったデショ?」
いやいやいやいや。
確かに言ってましたケド。
“宅飲み”なんて聞いてないし?
「ゆっくり飲みながら話、しよ?」
『…うぅ…』
ニッコリ笑顔の裏は。
私に断る余地すら与えないような。
…威圧感。
「…行くよ?」
有無を言わさない彼は私の左手を掴むと。
そのまま手を繋いだまま。
駐車場奥の扉へと歩を進めた。