不器用なシタゴコロ
「…なんでソコに座んの?」
『し、下に座りたかったから?』
「…なんで疑問系だよ」
結局。
彼の隣になんて座れるはずもなく。
ソファーに寄り掛かるようにして。
床に敷いてあるラグの上に座った私。
…まさか。
隣に座ったら“危ない”って本能的に判断しました。
なんて、言えるわけないよね…。
「…まぁ、いいケドね」
天井を仰ぎながら彼が呟いた言葉は。
私の耳には入ってこなかった。
「…聞いてもいい?」
缶ビールを1本空けた彼が。
足元に座る私の髪を一束、手に取った。
その仕草に。
髪にまで神経が通っているような錯覚を感じて。
ドキドキと心臓が動きを増していく。
『…なに…?』
「…今日一緒に仕事してたヤツと仲イイの?」
『…はい?』
思わず彼を見上げると。
ほんのり頬を染め、バツ悪そうに視線をそらした。