不器用なシタゴコロ
耳を澄まさなければ聞こえないような。
シトシト降り続ける雨。
まるで陰に隠れて泣いてる子供みたい。
どうせ泣くなら思いきり泣けばいいのに。
…こんな、雨降りの日は少し苦手。
苦手なくせに。
ベランダに出て外を眺めていたら。
昨日リビングに起きっぱなしにしていたバッグから、軽快な音楽が流れ始めた。
…メール、だ…。
その音楽を聞いてメールの受信だとわかった私は。
部屋の中に戻った。
バッグの中からケータイを取り出すと。
お気に入りの黒いソファーに身を預ける。
メール、誰だろ…。
指定着信音、なんてめんどくさい。
メールか電話、アラームの区別がつけばいい。
だから私のケータイからは3種類の音楽しか流れてこない。
…それで十分だった。