不器用なシタゴコロ

「……は?」





“瑞希くん”は電話ごしにもわかるくらい。

さっきの明るい声とは違う。

低い声を発した。





「…拾った…?」





「今日のお昼過ぎ、駅近くの商店街…パン屋さんの前で落としていったんです。近くに交番もないし、今日パン屋さん休みだったから明日パン屋さんに預けておこうと思って…」





嘘もごまかしもないんだけど。

なんとなく言い訳をしている気分になってしまう。





「持ち主の方にケータイ以外で連絡がとれるなら。商店街のパン屋さんに預けておきますって伝えておいてもらえますか?」





空気が重たい。

気まずい。





“とーや”に話していると思っていたトキとはまるで違う“瑞希くん”。





もー、早く電話切りたいよーっ。



 

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