不器用なシタゴコロ
「…モモには申し訳ないケド、負けたんだから腹括んな」
「ミズキくん!!」
さっきと同じ冷めた声のミズキクンに。
とーやクンが焦った声を上げたのは。
私が隣の部屋にいるのを知ってるから。
でも。
…そんな優しさはいらなかった。
…賭けてたんだ…。
私が“とーやクン”に落ちるかどうか。
だから“名前呼んで”とか。
“誰と一緒にいるの?”とか。
何度も聞いてきたんだね…。
さっきまでのドキドキが。
ズキズキに変わる。
心臓の鼓動すら痛くて。
呼吸するのも苦しい…。
「…冷たいようだけど。
ライブも間近に迫ってる。
頭切り替えて集中してもらわないと困…」
話し声が途切れた。
…もうこんなとこにいたくない…。