不器用なシタゴコロ

私の視線の先には今。





「ゆ、ゆずチャン?!」

「……なんで出てくんだよ…」





鳩が豆鉄砲食らったような顔のミズキクンと。

驚いた顔を一瞬見せて。

バツが悪そうに私から視線を逸らしたとーやクンがいる。





その仕草に胸の奥が“ズキッ”と傷んだけど。

逸らした視線が。

今までの話が“ホント”なんだと物語った。





『…お酒飲んじゃったから車は後で取りに来るよ』

「柚?」

『…帰るね』

「ちょっ…柚!!」





歩きだした私の腕をとーやクンが掴んだ。





「待てって」

『…離して』

「話聞けって」

『…話なら、聞いちゃったよ』





これ以上なにを聞けって言うの?



ミズキクンの言ったこと。

とーやクンはなにも反論しなかった。

…それが事実なんでしょう…?



 

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