不器用なシタゴコロ
とーやクンの腕を掴む力が少し緩んだ。
それに気が付いて。
とーやクンの手を自分の腕からゆっくり外した。
『車だけ迷惑かけるけど取りに来るから…』
それだけ言って2人に背を向けると。
玄関に向かって歩きだした。
その時。
「…ゆずチャン!!」
ミズキクンの声が背中を追い掛けてきた。
「ゆずチャン、聞いて。あのね…」
「…ミズキくん!!」
その声に振り返ると。
ミズキクンが気まずそうに話始めるのをとーやクンが遮った。
「なんだよ!!」
「言わなくていいって」
「はッ?!よくねぇだろ!!だってお前…」
ミズキクンは声を荒げとーやクンの方を向いたけど。
とーやクンはフルフルと首を振るばかり。
そして。
私を真っ直ぐに見据えた後。
ゆっくり頭を下げた。
「…言い訳はしない。…ごめん」