不器用なシタゴコロ
…その後のことは記憶にない。
とーやクンの部屋を出て。
どうやって帰ってきたのかすらわからない。
気付いたら。
真っ暗な自分の部屋のリビングに座り込んでいて。
顔が涙でグチャグチャだった。
…夢、見てたんだよ。
モモクンのことが好きすぎて。
都合のいい夢見ちゃってたんだ。
…そう思えればいいのに。
無理、だよ…。
だって。
覚えてるんだもん。
頬に触れた指の感触も。
抱き寄せられたときの腕の温かさも。
キスしたときの唇の柔らかさも。
優しい笑顔を見たときのドキドキも。
とーやクンに感じたモノ全部。
私の中に残ってるの…。
どれだけ泣いたら消えてくれるんだろう。
どれだけ喚いたら忘れさせてもらえるんだろう。
何をしても“消えない”。
わかってる。
わかってるよ…ッ…。
真っ暗なリビングで。
行き場のない想いと一緒に。
膝を抱えた。