不器用なシタゴコロ
“ドクン、ドクン”と。
心臓がイヤな音をたて始める。
…今、大事な時に。
人のケータイ使って電話かけてくるなんて。
ひょっとして。
とーやクンになにかあったとか…。
『なにか、あった…?』
「いや、ちょっと話が…」
『とーやクンになにかあったの?!』
思ったより響いた自分の声にビックリした。
でも、私。
まだ何も聞いてないよ。
あの“賭け”の言い訳だって。
聞いてない…ッ!!
「…そんなにモモが心配…?」
『え…ッ』
耳元から聞こえる小さな笑い声。
「別にモモになんかあったワケじゃないから心配しなくていいよ」
…なんだ…。
焦った自分が急に恥ずかしくなってくる。
でも。
だったらなんでミズキクンが。
とーやクンのケータイから電話なんてかけてくるのよッ!!
「俺、ゆずチャンの番号知らないから。
モモのケータイ拝借してんの」
ミズキクンが。
私の思ったことがわかったかのように言った。