不器用なシタゴコロ
視界に入るとーやクンは。
ベースを弄りながらこっちを向いている。
…気のせいじゃない。
絶対向いてる。
でも。
とーやクンの方を見ることができなくて。
ステージ中央のミズキクンたちを見てた。
意識は全部。
視界の隅にいるとーやクンに向いているのに。
「―とりあえず。
今日はみんなで騒いで、楽しいライブにしようぜッ…!!」
ミズキクンのその声に合わせて。
亮チャンがカウントをとり始めた。
「―行くぜー!!“ONE-WAY”…ッ!!」
『…あ…ッ!!』
その曲は。
私の背中を押してくれた大好きな歌。
ミズキクンは歌いながらとーやクンに絡んでいく。
とーやクンもまたベースを弾きながらそれに答える。
ホントに楽しそうにステージを駆け回る彼らを見ていると。
こっちまで楽しくなってくる。