不器用なシタゴコロ

視界に入るとーやクンは。

ベースを弄りながらこっちを向いている。





…気のせいじゃない。

絶対向いてる。





でも。

とーやクンの方を見ることができなくて。

ステージ中央のミズキクンたちを見てた。





意識は全部。

視界の隅にいるとーやクンに向いているのに。







「―とりあえず。
今日はみんなで騒いで、楽しいライブにしようぜッ…!!」





ミズキクンのその声に合わせて。

亮チャンがカウントをとり始めた。





「―行くぜー!!“ONE-WAY”…ッ!!」





『…あ…ッ!!』





その曲は。

私の背中を押してくれた大好きな歌。





ミズキクンは歌いながらとーやクンに絡んでいく。

とーやクンもまたベースを弾きながらそれに答える。





ホントに楽しそうにステージを駆け回る彼らを見ていると。

こっちまで楽しくなってくる。



 

< 234 / 340 >

この作品をシェア

pagetop