不器用なシタゴコロ
…そりゃあ、したよ。
あんな風に。
マイク通して自分の名前呼ばれるなんて。
人生に一度あるかないかだもん。
あの会場にいた“ゆず”サンは。
きっとドキドキしたんだろうな。
大好きな人の声で紡がれる自分の名前。
自分に宛てられたものでなくても。
宝物にしたくなるくらい大事な言葉になる。
でも、やっぱり。
叶うなら。
私のことを考えて、私のことを思って、私の顔を見て。
私の名前を呼んでほしい。
私がアナタを“とーやクン”と呼びたいように。
私はアナタに“柚”って呼ばれたいの。
あんな大勢の前で“理由”を話してくれた。
でも。
相手は“猫”じゃなくて“私”だって。
とーやクンの言葉で聞きたいよ…。