不器用なシタゴコロ

『……と、とーやクンッ?!』





慌ててケータイを耳に充て。

声を出した。





「…あ…うん、俺…」





電話の向こうは賑やかで。

笑い声や話し声がたくさん聞こえるせいか。

とーやクンの声がよく聞こえない。





「…っと…ちょっと待って…」





それはとーやクンも同じだったらしく。

ガタガタと音がした後。

急に静かになった。





「…ゴメン、ライブ終わって周りテンション高くて…」

『う、ううん、こっちこそいきなりゴメンねッ!!』





静かになった電話の向こう側。

それが私の緊張感を煽る。





……どうしよう…。

何から話せばいいんだろ…。





『あ、あのね…ッ』

「明日、仕事は…?」

『へッ?!』





私の言葉を遮り。

とーやクンが発した言葉は。

私の出鼻を挫いた。



 

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