不器用なシタゴコロ
会ったはいいけど。
何から話せばいいのかわからなくて。
『…う、打ち上げ終わったの?』
「まだ続いてるケド逃げてきた」
『逃げてきた、って…ヘーキなの?』
「たぶん大丈夫」
気まずいからテキトーに話題を出してみるけど。
あまり会話にならない。
私、とーやクンに何話したかったんだっけ?
なんで電話したんだっけ?
そんなことを考えていたら。
不意に腕を引かれ。
とーやクンとの距離が一気に縮まった。
『と、とーやク…』
「イヤなら全力で拒否って。
殴ってでもいいから拒否って」
『…え…?』
それって、どーゆー意…。
『…ん…ッ…!!』
意味を考える暇も与えてもらえず。
気付いたら。
両頬は大きな手のひらに包まれ。
…唇は。
とーやクンの柔らかな唇に塞がれていた。