不器用なシタゴコロ
え…?
ちょっと待って…。
今、“抱く”って…。
…とーやクン、今。
“柚のコト、抱く”って。
言ったよ、ね…?
『ち、ち、ちょッ!!…待って、とーやクン!!』
言葉の意味がわかった私。
慌ててとーやクンの方を向いたけど。
とーやクンはハンドルを握って車を走らせる。
「イヤなら全力で拒否れっつったよ?俺」
『それはキスの話でしょ?!』
「キスはよくてその先はダメなの?」
『そーゆーコトを言ってるんじゃなくて!!』
何をどう言えばいいのか。
自分でもわからなくなってくる
抱かれたい、と言えばそうじゃない。
でも。
抱かれたくない、と言えばウソになる。
「…じゃあ、なにが問題なの?」
その声に顔を上げると。
今までに見たことのないくらい。
真剣な顔をしたとーやクンと目が合った。