不器用なシタゴコロ

車は端に寄せられていて。

ハザードランプの“カチカチ”という音が車内に小さく響く。





「…なにが問題なのか、ちゃんと言って」





とーやクンの射ぬくような瞳に。

押さえ付けられてるかのように。

体は動かないし。

胸のドキドキはボリュームを上げている。





…どうしよう。

どうすればいい?





『…知り、たい…』

「え?」

『とーやクンの、気持ちが知りたい…』





それは自然に出てきた言葉だった。





『モモクンの言葉で“賭け”の理由はわかった。
でもとーやクンの気持ちは聞いてないんだよ』

「“モモ”も“とーや”も俺だって…」

『私は“猫”じゃないもん』





私の言葉に。

とーやクンが目を見開いた。



 

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