不器用なシタゴコロ

『な…、いつからそこ…ッ?!』

「少し前」





…ちょっと待って。

“少し前”って…。





『私の独り言聞いてた?!』

「…独り言は聞いてねぇよ」





慌てた私に。

タオルで髪を拭きながらとーやクンが答えた。





なんだ、聞いてなかった…の、か…。

って!!





『じゃあなんで?!
“俺も同じなんですケド”ってなに?!』





うっかり“ホッ”としちゃったけど。

聞いてなかったら。

会話がおかしくない?!





「…なにって…言葉のまんま?」





じゃあ、じゃあ…。

ひょっとして。





“…顔見て、名前呼んで。
それで好きだって言ってほしい。
とーやクンが好きなのは“私”なんだって。
そう感じたい”





…コレ。

とーやクン、聞いてたってコト?!





……背中に変な汗が走った。



 

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