不器用なシタゴコロ
「…なに百面相してんの?」
いつの間にキッチンに行ったのか。
とーやクンは麦茶の入ったグラスを持って。
ソファーに寄り掛かるように私の足元に座る。
『し…してないッ!!』
「そ?」
『とーやクンの気のせいだよッ!!』
恥ずかしくて。
慌てて抱えていた膝に顔を埋めると。
スル、ととーやクンの指が私のうなじに触れた。
『…ヒャァッ!!』
虫が這ったような。
そんなゾクゾクした感覚に。
また顔を上げてしまう。
「…不安、消してやるから」
聞こえた声に顔を向けると。
下から私の顔を見上げるとーやクン。
…上目遣いのとーやクンに。
“ドキッ”と心臓が揺れる。
「…もう、そんな気持ち抱えないように。
全力で抱くから…」
そう言って。
とーやクンはソファーに手をついて。
ゆっくり立ち上がった。