不器用なシタゴコロ
vol.13
寝室に入ると。
とーやクンは後ろ手に戸を閉める。
すると。
部屋の中は薄暗い月明かりだけになった。
お互いの顔すらはっきり見えない寝室。
とーやクンは。
私の部屋にあるベッドより大きなベッドに。
私をそっと下ろすと。
唇が触れるだけのキスを落とした。
「…緊張、してる?」
『そ、そりゃあするよ…ッ!!』
どこを向いていいのか。
何をしていいのか。
どうすればいいのか。
わかんない…。
「…俺も、緊張してる」
そう言って口元を緩めると。
私の頬にそっと触れた。
「…でもさ」
“ギシッ”っとベッドが軋み。
とーやクンが近づいてきた。
そして。
額と額がくっついたとき。
「…緊張以上に、柚が欲しい…」
その言葉が合図になったかのように。
私はとーやクンの腕に抱き寄せられた。