不器用なシタゴコロ
そこには。
私の落ち着かない原因の名前が。
静かに光っていた。
“瑞希くん”
…連絡、ついたのかな…。
ドキドキが自分でもわかる。
ちょっと震える指先で、通話ボタンを押した。
「……はい…」
「持ち主に連絡ついたよ」
“瑞希くん”はなんのためらいも前置きもなく、話を始めた。
「全く、しっかりしてるように見えて抜けてるからなーあいつ」
電話越しにもちょっと呆れて気味なのがわかる。
「…アハハハハッ」
“瑞希くん”の周りには誰かいるらしい。
耳にあてたケータイの向こうから笑い声が聞こえてくる。
「…じゃあ…」
「落としたってかなり焦ってた。“うぉー、ヤベーッ!!”て吠えてたし」
“瑞希くん”の声の感じから。
ちょっとおもしろがってるのがわかる。
後ろの笑い声に混ざって。
「…余計なこと言うなよっ!!」って声がした。
…その焦り方からの勝手な予想。
“彼”もそこにいるらしい…。