不器用なシタゴコロ
私を抱き寄せた腕は腰にまわされ。
もう片方の手は私の頬に添えられた。
「…柚…」
『…ん…ッ』
唇が重なる。
でもそれは。
今までされてきた様なキスとは違った。
…熱を持ったとーやクンの唇が。
私の唇を食べるように動く。
『…ハァ…ッ…』
とーやクンの舌が私の唇をなぞる。
そのゾクゾクした感覚に。
思わず口元が緩んだ。
その隙間にとーやクンの舌が入り込んでくる。
そして。
私の舌に絡むように口内を暴れ回った。
キスだけで。
別の世界に連れて行かれそう…。
とーやクンのキスは。
甘くて、熱くて。
このまま溶けてしまいそうになる。
「…柚、目ェ開けて…?」
“フッ”と唇を塞がれていた甘い感覚がなくなり。
耳を通ったとーやクンの囁きに。
私はゆっくりとまぶたを持ち上げた。