不器用なシタゴコロ
耳を唇で挟まれたり。
舌でなぞられたり。
リアルで生々しい音が。
直接頭の中に響く。
『…や…ッ』
「や、じゃないデショ?」
リアルな音と感触。
唇をなぞられる指先に体を捩らせるけど。
とーやクンの重みで体の自由が利かない。
「…そうやって“五感”全部で感じてよ。
俺がどんだけ柚のコト好きかって…」
不意打ちのように。
耳元で囁かれたとーやクンの甘い声と言葉に。
体に力が入らなくなる。
「だから柚も感じさせて?
どんだけ俺のコト好きかって…」
腰が砕けそうな甘い声が耳を通った。
そして。
冗談なんか欠片も混ざってないくらい真っ直ぐに。
私と視線を絡ませた。
「……好きだよ、柚…」