不器用なシタゴコロ
…いや、確かに。
5回くらいはしましたけど…。
…って!!
慌てて振り向くと。
そこには須賀チャンの姿があった。
『須賀チャン?!』
「…欠伸。
俺が事務所来てから5回目」
呆れたような須賀チャンがため息を吐いた。
…あ…なんだ…。
欠伸、ね…。
そりゃそうだよね。
須賀チャンが“そんな事情”知るはずないもんね。
「…髪、逆に束ねた方がいい」
『は?』
いきなりの須賀チャンの言葉は。
意味がさっぱりわからない。
今日は左耳の後ろで巻いた髪を纏めてある。
逆…ってことは。
右にしろってこと?
…なんで?
私の考えてることがわかったのか。
須賀チャンはまたため息を吐いて。
自分の右耳の後ろを指差した。
「キスマーク。ガッツリ見えてる」