不器用なシタゴコロ

「…じゃあ俺、ひょっとして。
言わなくていいコト言った…とか?」



ちょっと顔を引きつらせて。

“…ハハハハハ”と空笑いするとーやクン。





『…なにが“ウソ”で、なにが“ホント”なのか。
納得いくように教えて頂きマス』





真っ直ぐとーやクンを見据えて。

私がそう言うと。

勢いよく立ち上がっていたとーやクンは。

腰が抜けたように椅子に座り直し。





「…ハァァァァァァ…」





頭を抱えて。

大きなため息を吐いた。





『…で?“ウソ”ってなに?』

「…話さなきゃダメ?」





テーブルに突っ伏したまま上目遣いのとーやクンに。

“ドキッ”として。

ちょっと心が揺れたけど。





『ダメ』





どんな顔してもダメ。

教えてくれるまで解放しないんだから。





「…引くなよ…?」





諦めたようにため息を吐くと。

プイッと拗ねたようにそっぽを向いて。

言葉を紡ぎ始めた。



 

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