不器用なシタゴコロ
『…最初ッから、ウソ…?』
とーやクンの言葉に。
ドクン、ドクンと。
徐々に心臓の動きが大きくなっていく。
視線を合わせたはずのとーやクンは。
気まずそうに“フイッ”と視線を逸らした。
…どうしよう。
なんだろ。
このイヤな予感…。
こーゆートキのイヤな予感って。
外れがないような気がする。
「あの雨の日。
…ワザとケータイ落としたんだ」
とーやクンの言葉は。
私の胸に突き刺さるようにして通り抜けた。
「同じ軒下に入っても。
“2sbBのモモ”だって気付かない。
そんな彼女は俺のケータイを拾ったらどうするだろう…って」
とーやクンの言葉は。
頭の中をグルクル回る。
…あの時。
あの雨の日。
拾ったケータイは。
落とし物だけど落とし物なんかじゃなかった。
困るだろうと思って拾ったケータイは。
ワザと落とされたモノだった…。