不器用なシタゴコロ

何をどう考えていいのかわからない。

どんな言葉を出せばいいのかわからない。



…手は震えてくるし。

心臓はどんどん動きを増してくる。

背中には。

イヤな汗が一筋走る…。





俯いた私に。

容赦なくとーやクンの言葉が突き刺さった。





「…ミズキくんが俺のケータイ鳴らしたのも偶然じゃない。
ケータイ落とす前から決まってた…」





じゃあ、なに…?





ゴハンに誘われたのも。

水族館行ったのも。

キス、したのも。

“私を抱く”って言ったのも。



全部…全部。

とーやクンの書いたシナリオだった、ってワケ…?



私はそれに。

踊らされてただけ…?







『…アハ…アハハ、ハハ…ッ』

「…柚?」





おかしいことなんか何もないのに。

笑いが込み上げてくる。





…あぁ。

人間って、キャパオーバーし過ぎると。

笑いたくなるんだね…。



 

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