不器用なシタゴコロ

一度は捨てようと思った。

…でも簡単に捨てられるモノじゃなかった。



あのライブに行って。

“やっぱり捨てなくてよかった”って。

そう思えたのに。





『…バカ、みたい…』





笑いたくないのに。

顔には笑いが浮いたまま。

泣きたいくらい悔しいのに。

テーブルの下で拳をギュッと握ることしかできない。





ホント、バカだ…。

よく思い出せばミズキクンは言ってたんだ。





―“2sbBのモモ”じゃなくて
“とーや”で落とすって…―

―“賭け”は俺らの勝ちでいいんだな―





…あの時の言葉。



私の頭の中は。

私が“賭け”の対象にされてたってことばっかりだったけど。

ホントは。

“私の心”が。

賭けの対象だったんだ…。





なにが“緩んだバカ面”よ。

なにが“恥ずかしいくらいおもしろい話が聞ける”よ。





…それはアナタ達が。

後で私の話をとーやクンから聞いて思うことなんでしょう…?



 

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