不器用なシタゴコロ

『え、ちょっ…なに…ッ?!』





左腕を掴まれた私は。

私自身の意思とはカンケーなく身体ごと引っ張られ。

お店の外に連れ出されてしまった。





『どこ行くの…ッ?!』

「……………………」





外に出たとーやクンは。

私の腕を掴んだまま、無言で歩き出した。



歩調なんて合わせてくれない。

私は、腕を引っ張られ。

とーやクンについていくのがやっとだった。







『とーやクン!!痛いってば…ッ』





引っ張られた腕だけじゃない。

こんな日に限って。

慣れない高めのヒールのサンダルなんて履くから。

足まで痛い。



もう、最悪…。





私の言葉に。

いきなり左腕を引っ張る力がなくなった。

そして。

先を歩いていたとーやクンも立ち止まり。

振り返った。





「…ココがこの話の始まりなんだよ」

『…え…?』





そう言ったとーやクンの視線の先には。

1時間少し前まで私が働いていたレストランがあった。



 

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