不器用なシタゴコロ

開店中は外に出してある観葉植物も。

今は人気のない真っ暗な店内に置かれている。

道路に面した窓も。

ロールカーテンがひかれていて中は覗けない。





『…ココが?なんで…?』





とーやクンの言う“始まり”がなんなのか。

私には見当もつかなかった。





「…“俺のお気に入り”って。
ココで撮影させてもらったじゃん。
お気に入りっつーくらいだから、何度も来たことあるんだよ」





「…気付いてた?」と。

とーやクンはテレくさそうな顔をして。

お店の方を向きながら言葉を続けた。





「誰かが来るたびに笑顔で迎えて。
誰かが声をあげるたび気持ちのイイ返事をくれる。
その子は俺の席に来ることはほとんどなかったケド。
気が付いたトキにはその子を目で追ってた」





そして、とーやクンは。

私と向き合った。



 

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