不器用なシタゴコロ
「“モモ”として好かれても意味がない。
“とーや”として…ただの男として興味を持って欲しかった」
とーやクンの視線は。
私を真っ直ぐ見つめ。
ゆっくりと言葉を紡いだ。
「…“脳内LOVE”は俺が柚のコト考えてできた曲なんだよ」
『わ、たし…?』
さっき感じた冷たいイヤな汗はなくなり。
心臓の音は徐々に動きを増していく。
言葉だけじゃなくて視線にも絡まれて。
体の奥の方から熱くなってくる。
「それに気付いたミズキくんに“ココまで書けんなら動け!!”って。
…ケツ蹴られた」
“フッ”と緩く口元に笑いを浮かばせる。
「…とは言うものの。
いきなり声かけるのもどうかと思って。
…あの曲の歌詞に乗っかった」
そこまで言うと。
とーやクンは“フゥ…”と。
ため息にも似た深呼吸をひとつ吐いた。