不器用なシタゴコロ

そして。

歩こうか、と。

とーやクンは私の車が置きっぱなしになっている駐車場の方へ。

ゆっくりと歩きだした。





少し先を歩くとーやクンは。

さっきと違って歩調を合わせてくれる。

でも。

隣に並ぶことができなかった。





見えてるようではっきりしない。

私は。

そのはっきりしないモノを信じてしまっていいのだろうか。



はっきり聞くのは怖いけど。

白か黒か。

答えを聞かなきゃいけない気がする…。





そう思ったとき。

少し先を歩くとーやクンが。

“クルン”と振り返った。





『な、なに?どうしたの…?』

「…こんなんだからケツ、蹴っ飛ばされんだよな」

『は?』





自分ひとりで納得するようにそう呟くと。

とーやクンは私の手を握った。



 

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