不器用なシタゴコロ
程なくして信号は青に変わり。
そのゴーサインに合わせてアクセルを踏み込んだ。
流れていく景色と一緒に。
ドアに片肘をついて視線を外にやり。
下唇に触れているとーやクンの姿が視界の隅に入る。
なんだか。
言葉に出した自分が惨めになってくる。
…今。
私ととーやクンの距離はどのくらいある?
見た目の距離だけなら。
手を伸ばせば届くくらい。
でも。
心の距離は。
目一杯、手を伸ばしても。
足がつりそうなくらい背伸びをしても。
届かない気がする。
…とーやクンは。
今は、何を考えてる?
私には。
それがわからないよ…。
目を瞑ってしまいたいのを堪えて。
重苦しい沈黙の中。
私は前だけを見て車を走らせた。