不器用なシタゴコロ
「…俺ンち来ると。
柚はいつもため息ばっかだ」
おどけたような苦笑いを浮かべると。
手に持ったグラス2つをテーブルに置いて。
私が寄り掛かっているソファーにとーやクンは座った。
『…ため息吐きたくもなりますよ…』
私がため息吐いてる原因は。
アナタですよ、とーやクン。
このまま中途半端だと。
私はとーやクンにどう接していいのかわからなくなる。
“友達”なのか。
“好きなアーティストと知り合えたファン”なのか。
“好き”って気持ちは隠しておかなきゃいけないのか…。
ポン。
膝に顔を埋めた私の頭に。
とーやクンが手をのせた。
そして。
梳くように髪に指を通す。
「…柚は俺とつきあいたいの?」
『え…?』
私の髪に指を通しながら。
とーやクンの唇から漏れた言葉に。
私は思わず顔を上げた。