不器用なシタゴコロ
ドキドキドキと。
心臓の音が自分の中で大きくなっていく。
「俺は“つきあう”って言葉で柚を、縛っちゃっていいの?」
その言葉に。
“ドクン”と体中を血液が駆け巡って。
体温が2、3度上がっちゃったんじゃないかと思うくらい。
身体が熱くなった。
とーやクンは。
そんな私の顔を見ずに。
髪に指を通しながら言葉を続けた。
「俺は“とーや”だけど“モモ”。
俺とつきあうなら。
しなくていいガマンもしなきゃならない」
そこまで言うと。
とーやクンは顔を上げた私と視線を合わせる。
「ツアーなんか始まったらなかなか会えないし。
夜中から仕事とかフツーにあるし。
…柚が会いたいトキに会えないと思う。
ガマンさせるってわかってるなら、つきあうなんて言葉出さないほうがイイと思ってた」