不器用なシタゴコロ
大事なものにでも触れるかようにそっと。
少し冷たい指先で優しく頬を撫でる。
「“好き”って気持ちが伝わればよかった。
“つきあう”なんて…頭の中になかった。
…わざわざ悲しませるようなコトだと思ってたから」
少し、おどけるように。
とーやクンが目を細める。
「でも、それが柚の顔を曇らせてるなら…」
とーやクンは唇を“キュッ”と結んで。
真っ直ぐに私を見つめた。
「…縛らせてよ、柚のコト」
とーやクンの意志の強そうな瞳が。
私を貫くように視線を絡ませる。
そして。
今まで見たことのないような真面目な顔で。
とーやクンは言葉を紡いだ。
「…俺の、彼女になって」