不器用なシタゴコロ

「…前にも言ったケド。
俺、ヤキモチやきだから…覚悟しといて」





唇が離れた後。

顎から首筋に指先を滑らせながらとーやクンが呟いた。





『…でも。
あんな目立つトコにキスマークはやめてクダサイ…』

「なんでわかった?」





私の言葉に。

少し驚いた声を上げるとーやクン。



…いや、私が気が付いたわけじゃないんだけどね…。





「絶対気付かないと思ったのに」




そう言って右耳の後ろに指を這わす。

そこは、キスマークがあるであろう場所だった。





そんなとーやクンを横目に。

小さくため息を吐くと。

私は言葉を吐き出した。





『…同僚にからかわれて気付いた。
も〜、めっちゃ恥ずかしかったんだから』

「…同僚?」





とーやクンの眉がピクリと上がった。



 

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