不器用なシタゴコロ
その紙には。
手書きで文字が並んでいて。
『…これ…』
「歌わないから歌詞だけ」
渡された紙には。
とーやクンが書いた“脳内LOVE”の歌詞が書かれていた。
「…恥ずかしいから、声に出さないように」
ほんのり頬を赤らめたとーやクンは。
そのまままたパソコンと向かい合った。
…どんな歌詞だったんだろ。
ライブでは結構盛り上がるアップテンポな曲だったよね。
あの時はメロディーに追われて。
歌詞まで理解できなかったし。
緊張しながらそれを読み進めていくと。
ドキドキを誘う夢とリアルが。
そこには並んでた。
とーやクンは。
こんな風に私のことを考えていたのか…。
そう思うと。
何だかすごく恥ずかしくなってくる…。
『…ね、とーやクン』
「ん?」
『落とした“ソレ”って、なに?』
私の小さな疑問を口にした。