不器用なシタゴコロ
それからしばらく。
私は英和辞書と戦ってみたけれど。
全くそれらしいものにはならない。
『あーッ!!わかんないッ!!』
もっと真面目に英語の勉強しておくんだった…。
開いた辞書を閉じて。
走り書きしたメモ用紙も丸め。
ソファーに寄りかかって大きく伸びをした。
『とーやクンってすごいね〜』
「なにが?」
『英詞書いちゃうんだもん』
「“コレ”使えばカンタンに訳してくれっからね」
………え?
……コレ、って…?
とーやクンが“コレ”と指差したのは。
『パソコン?!』
「自慢じゃないけど、俺英語できないし」
ハハハハハ、と空笑いするとーやクン。
なによ、もうッ!!
なんで自分はパソコン使ったくせに私には辞書渡してくるのよ!!
「怒った?」
『怒ってない!!』
とーやクンのバカ!!
帰ったら調べてやる!!
「…俺が落としたのは“モノ”だけじゃない。
恋心と下心も一緒に落としたんだ」