不器用なシタゴコロ

他人の番号なんてよっぽどでなければ暗記してない。

私なんて自分の番号がやっと。

家族の番号ですらうろ覚え。





…この方法なら、間違いないはず…。





「…わかりました」





私は“彼”であろう人に返事をすると。

バッグの中から自分のケータイを取り出した。





「番号言うよ?…090…」





彼が口にする番号入力していく。





「……かけてみて?」

彼が小さく微笑んだ。





……なんだか、ドキドキする。





これで、鳴るのかな…。



ちょっと震える指で。

通話ボタンを押した。





…プルルルル…プルルルル…





耳に充てたケータイからは呼び出し音が聞こえだした。





『…………?!』



と、ほぼ同時に。

バッグの中からも聞き慣れない音楽が鳴りだした。



 

< 40 / 340 >

この作品をシェア

pagetop