不器用なシタゴコロ
他人の番号なんてよっぽどでなければ暗記してない。
私なんて自分の番号がやっと。
家族の番号ですらうろ覚え。
…この方法なら、間違いないはず…。
「…わかりました」
私は“彼”であろう人に返事をすると。
バッグの中から自分のケータイを取り出した。
「番号言うよ?…090…」
彼が口にする番号入力していく。
「……かけてみて?」
彼が小さく微笑んだ。
……なんだか、ドキドキする。
これで、鳴るのかな…。
ちょっと震える指で。
通話ボタンを押した。
…プルルルル…プルルルル…
耳に充てたケータイからは呼び出し音が聞こえだした。
『…………?!』
と、ほぼ同時に。
バッグの中からも聞き慣れない音楽が鳴りだした。