不器用なシタゴコロ
耳にあてたケータイは。
切らずにそのまま呼び出しっぱなしにして。
バッグの中で呼んでいる“それ”を手探りで探し…握り締めた。
「色は黒。機種は○×でストラップはついてない」
私がケータイを出す前に。
“彼”はケータイ会社名や特徴を言った。
……うん、合ってる。
じゃあ、この人が“彼”…。
『……コレ、デスよね?』
私は左手に握り締めた黒いケータイを。
“彼”に差し出した。
「ちょっと待って」
“彼”は私の手のひらにあるケータイをとると。
ケータイを開いてディスプレイを私に向けた。
「…この番号、キミので間違いない?」
向けられたディスプレイに出ているのは。
間違いなく、私の番号だった。