不器用なシタゴコロ
「じゃ、決まりね」
“彼”の薄い唇が弧を描いた。
「なにか食べたいもの、ある?」
食べたいもの。
なんて。
いきなり言われても出てこないよ…。
いつもテキトーに目に入ったお店で食べてるからなぁ…。
でも。
今は中華の気分じゃない。
かといってイタリアンも違う。
……うーん……。
悩んでる私を見てたのか。
“彼”がクスクスと笑いを含みながら言葉を発した。
「悩んでるなら任せてもらえますか?」