不器用なシタゴコロ
“任せてもらえますか?”
“彼”のその言葉に頷いた私は。
“彼”との距離を少しあけて。
後ろを歩いていた。
ナンパしてこようがなんだろうが。
この人、目立つんだもん。
背も高くってスタイルもいい。
服装だって頑張りすぎてない。
さりげなくオシャレ。
横を通ってく人が。
チラチラ見てたり、振り向いたりするんだもん。
…私、隣にいるのが申し訳なくなってきちゃう…。
「……歩くの速い?」
「えっ?!」
ふいに立ち止まって振り返る“彼”。
「合わせようとゆっくり歩いてたつもりだったんだけど……ごめんなさい」
ペコッっと小さく頭を下げる。
その仕草がなんだか可愛く見えて。
「…プッ…」
思わず笑ってしまった。