不器用なシタゴコロ
「じゃ、せめて半分…」
「いらないって」
そう言っても。
とーやクンは受け取ってくれない。
むしろ困った顔をしてる。
…どうしたらいいんだろ…。
「…一応、俺もオトコなんで。カッコつけさせてクダサイ」
プイッ。
口元を左手で覆いながら顔を背けるとーやクン。
お店の光に照らされて。
ほんのり頬が赤く染まっているようにも見える。
……そんな顔見せられたら。
これ以上何も言えなくなっちゃうじゃない。
「…じゃあ、遠慮なく。ごちそうさまでした」
私は手に持っていた数枚のお札を。
財布にしまった。
私の言葉にとーやクンは。
「いえいえ」
まだほんのり赤い顔を背けたまま。
そう言葉を発した。