不器用なシタゴコロ

背中を見て歩いてきた行きの道程とは違って。

帰り道は肩を並べて歩いてる。





そのことになんの違和感もなくて。

たった数時間の間に、ずいぶん距離が縮んだなぁ、なんて。

自分でも少し驚いた。





「明日は何時から仕事?」

『8時半だからそんなに早くはないんだ』

「とりあえず寝不足にはならずにすみそうだね」

『寝不足で仕事はキツい』

「あ、わかるそれ」







当たり障りのない会話。

それはとーやクンと私との。

“時間の終わり”を表しているようで。





…少し、寂しくなった。





そんな“寂しさ”を知ってか知らずか。

ポツリ、ポツリと雨が降ってきた。



 

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